5年ぶり日本一へ!早稲田大学ラグビー部主将、佐藤健次 「荒ぶる」再び…勝ちに貪欲(2024年4月2日)

21,320
Published on 2024年4月3日 by

新チームが発足し、春季大会に向けてビルドアップを始める大学ラグビー。5年ぶりの選手権優勝を目指し、着々とチーム作りを進めているのが、早稲田大学ラグビー蹴球部だ。

エンジと黒の軍団、その107代目の主将を務める男が…佐藤健次(21)。誰よりもグラウンドで声を出し、最後の1年、すべてを早稲田ラグビーに捧げ、チームを引っ張る。

佐藤
「強い早稲田を取り戻さなくちゃいけない」

優しい表情とは裏腹に、勝利に対して常に貪欲(どんよく)!

佐藤
「最後は結果『荒ぶる』までいければいいな」

目指すは、5年ぶりの大学日本一奪還!「荒ぶる」を歌うため、仲間を信じ、ひるむことなく戦い続ける、ワイルドな奴である!

■5歳からラグビー 「引っ込み思案、いつも迷ってる」

多くの主力選手が卒業で入れ替わる大学ラグビー。この季節は、チームの土台を作る大事な時期となる。

そんななか、大学王座奪還に向け、着実に準備を進めるチームがあった。

早稲田大学ラグビー部。100年を超える歴史を持ち、多くのスター選手を輩出した名門だ。しかし、優勝した時だけに歌うことができる「荒ぶる」が最後に歌われたのは5年前になる。

そんな巻き返しを誓うチームをまとめるのが、新キャプテンの佐藤健次だ。佐藤がラグビーに出会ったのは、5歳の時だった。

佐藤
「高崎ラグビークラブでラグビーを始めて。そこのコーチの方々がすごい優しくしてくださって。それでラグビーを始めました」

佐藤少年を教えていた、ラグビースクールの篠塚明仁コーチ(70)。強いリーダーシップを持つ今の姿からは想像できない、当時の様子を話してくれた。

篠塚コーチ
「他の子より少し体が大きくて、少し足が速くて。でも、今のスタイルのような『すごい』っていうのではない。引っ込み思案で、いつも迷っているような子でした。横浜ラグビースクールで活躍して、菅平の合宿で会った時、『健次、お前何があったんだ』と聞いたくらい」

中学に入ると、横浜ラグビースクールに入り、3年時はキャプテンを務め全国優勝。高校は関東の強豪・桐蔭学園に進んだ。

佐藤
「主体性というか、選手自身が考えて。プレーもそうですし、プレー以外のミーティングであっても、選手主体でやっているなという印象が入った時はすごい強くて。やっぱり強いところでラグビーがしたい、日本一になって花園で優勝したい、という僕の中での目標があったので。それが一番かなえられるところが桐蔭学園だと自分は思ったので、桐蔭学園を選びました」

そんな思いを持って入った桐蔭学園。藤原秀之監督(56)は、当時ナンバーエイト(NO8)だった佐藤をどう見ていたのか?

藤原監督
「どちらかと言うと、ものを発信することに関しては長けていたと思います。1年生といえども物怖じせず、発言していましたし。彼は1年生からレギュラーで花園にも出ていますし。3年間フォワードで出るということは、バックローといえども大変なことだと思います。それなりの努力をしたということだと」

■「自分で抱えすぎない」 背景に高校時代の“挫折”

3年生でキャプテンとなった佐藤は、困難やプレッシャーを跳ね返し、花園連覇を達成。そして、さらなる高みを目指す佐藤がそのプレースタイルに憧れて選んだのは、早稲田大学だった。

佐藤
「自分に合った大学がどこかと考えた時に、早稲田大学はフォワードもスキルフルで走れて、自分に一番合ったラグビーができるのかなと思い、早稲田大学を選びました」

1年から試合に出場。2年生になると、ハードワークを要求されるフッカーにコンバートし、1列目でチームを牽引(けんいん)。そして4年生となる今季、佐藤は早稲田大学ラグビー部の第107代・主将に任命された。

佐藤
「主将になって、何を最優先でやらなければならないと考えた時に、まず自分が変わる。去年は、ラグビーをやるとなったら本気で頑張っていたが、それ以外の時間で、まだラグビーに費やせていなかった。ただ携帯を見て、しゃべって…。今年1年は全部を早稲田のラグビーにかける。早稲田の主将となると、多くの人から注目されて、色々な人たちの思いを背負ってプレーする。僕は元々、器用なほうではないので。僕ができないことは誰かに任せて、全部自分で抱えすぎないように」

一人で抱え込むことをしない、佐藤のキャプテン像。高校時代の挫折がきっかけだった。

藤原監督
「印象的なのは、菅平で東福岡さんと合宿をしたんですが、その時に簡単な2対1だったんですけど、良いパスが投げられなくて。そこで流れ変わっちゃってという試合がありました。彼はその試合は自己嫌悪というか、落ち込んでいましたよね。一人で背負ってしまったんですよね。3冠の後だったので。次は連覇が目標にあったので。いろんな役割を与えて、キャプテンというのは全部やるもんじゃないんだよって。役割を与えていくのも自分の仕事だとちょっとずつ分かってきて。そうなると、自分のプレーにも集中できるようになり、いい循環があったと」

一人だけが頑張るのではなく、皆の力を結集することでチームはさらに強くなる。挫折を経験し、佐藤は大きく成長した。

■チームメイト信じ…「姿で見せてくれる」

 この日行われたのはユニット練習。フォワードはスクラム強化に力を入れ、その精度を高めていた。

練習後の楽しみは、なんと言っても食事。

FB 4年 守屋大誠
「一番プレーとか練習中に引張ってくれているのは、誰が見ても分かる。それはすごく心強い」

FL 4年 西浦剛臣
「多分一番ラグビーうまいんですけど、それでも練習、自主練とかは一番してますし、そういうところを見ていくと、自分たちは彼以上にやんなきゃなって。キャプテンから姿で見せてくれる」

佐藤
「やっぱいいこと言うんだね!君は(笑)」
「楽しみです。僕もキャプテンやってて。ゼロにもできるし、強いチームを作れるポテンシャルがすごくあると思うので。僕も楽しいですし、皆でチーム作ってる感があるんで」

佐藤キャプテンだからこその和やかな空気感。チームメイトを信じ、時にその背中で仲間を引っ張る。

頼れるキャプテンのもと、「荒ぶる」を歌う日がくることを信じ、早稲田は日本一を目指す。

■ナンバーエイトからフッカーに 将来見据え

5年ぶりの大学日本一を目指すべく、激しい練習を続ける早稲田大学ラグビー部。新たにキャプテンを任されたのが、フッカーの佐藤健次だ。

初めて日本代表トレーニングスコッドに選ばれ、合宿に参加した佐藤。その感想を聞いた。

佐藤
「やっぱり僕の目標が日本代表として世界の舞台で活躍することだったので、純粋にすごくうれしかったですし、逆に焦りというか、何か呼ばれたならもっと頑張らないとって思うきっかけにもなりました」

大型化が進むバックロー。佐藤が大学に入って、ナンバーエイトからフッカーにコンバートしたのは、将来を見据えての決断だった。

佐藤
「やっぱり日本代表で試合に出て活躍したいっていうのはずっと思っていたので、そのなかでナンバーエイトというポジションよりフッカーでチャレンジしたいというのは、高校最後の方から思っていたので。2年生になって自分からフッカーにチャレンジしたいことを伝えて、自分の意志でフッカーになりました」

フッカーとしてつかんだ、ジャパンへの第一歩。手応えはあったのか?

佐藤
「もう全く通用しないと思ってビクビクしながら行ったんですけど、いざプレーしてみたら自分のフィジカル面や走力は通用する部分もあった。そこはすごくポジティブに捉えてるんですけど、シンプルな体の強さやステップワークなど、一つ一つのスキルは見習うべきところはたくさんあった。そこを修正して、大学期間はしっかり1年磨いて代表の中心になれるように頑張っていきたいなと思います」

■スクラム強化 練習の成果は?

昨シーズンの大学選手権準々決勝。京都産業大学と対戦した早稲田は、スクラムで圧倒され、大敗。その反省から今シーズンは、スクラムの強化に力を入れていた。

佐藤
「根本的にスクラムに費やす時間を増やすのは取り組んでいて。今までは、シーズン通して組んでる本数が少なかった。今年は本数も組んでますし、強度も去年よりは少しずつ良くなってるのかなと思います」

何本もスクラムを組んでは、佐藤が中心となり、修正点を話し合う。

この日は関東学院大学との合同練習が行われた。早稲田の太田尾監督は、どんな意図を持ってこの合同練習を組んだのか?

太田監督
「昨年の敗戦からスクラムというものを根本的にいろいろ考え方を変えて取り組むために、かなり早くから指導をしたんです。指導して、6週間ぐらい経ったので、まず対外的に、今どういうスクラム組めるかなっていうのを試したいなと思って、今回こうやって設定しました」

強豪校が相手ということもあり、皆気合は十分。強度の高いスクラムを組み、これまで積み上げてきた練習の成果を試す。

佐藤主将
「8人まとまって、まずしっかりヒットのところ。やっぱりヒットフォーカスじゃないと。ケンカだったら1発殴られてから、そこからスタートみたいなスクラムを組んでいたんですけど、まずしっかり自分たちから仕掛けることを意識してやって。本当にヒットスピードのところではきょうは良い。そこから相手にうまくアジャストされたところでも自分達もうまく相手に合わせて、良いヒットができたと思う。まだ、相手に合わせすぎてるところがあるので、しっかり修正しながらやっていきたいと思います」

■「強い早稲田を取り戻す」 ラグビーは“人生の楽しみ”

スクラムの強化を含め、新たな早稲田を見せるべく戦う選手たち。佐藤は今シーズンの目標を高く掲げていた。

佐藤主将
「最終的な目標は荒ぶるなので、そこを忘れずに取り組むことと、今年最初のミーティングがあった時に僕が言ったのは、Aチームから全カテゴリーがこのシーズン、練習試合も含めてどこにも負けない1敗もしない状態で完全優勝しようという話をして。強い早稲田を取り戻さなくちゃいけないですし、やっぱりそれをできるのは今の学生だけなので。春シーズンから全員が勝ちに貪欲になれば、全カテゴリーがこのシーズン通して勝つことができると思うので、本当にそれを目標に最後はしっかり荒ぶるまでいければいいなと思います」

 佐藤にとってラグビーとは?

佐藤主将
「僕にとってラグビーとは“人生の楽しみ”。ラグビーをしている時間が一番楽しいですし、試合に勝った瞬間、優勝した瞬間というのは、本当に僕の人生の中で一番と言っていいほど本当に嬉しい瞬間だと思うので、僕にとってラグビーとは人生の楽しみなのかなと思います」

時に優しく、時に激しく、エンジと黒の軍団を率いる佐藤健次。目指すは全試合に勝利する完全優勝!すべてを早稲田ラグビーに捧げ、貪欲に頂点を目指す、ワイルドな奴である!

■ラグビーウィークリー
https://www.bs-asahi.co.jp/rugby/

■リーグワン日程
https://league-one.jp/schedule/

[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

Category Tag

Add your comment

Your email address will not be published.

CAPTCHA