恐怖…500m滑落の一部始終 40秒間転がり続ける 春の登山「雪のワナに注意」【知ってもっと】【グッド!モーニング】(2024年4月1日)

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Published on 2024年4月1日 by

 暖かくなるこれからの季節、登山に行く人も多いのではないでしょうか。ただ、山によっては雪が残っている場所もあり、慣れている人でも警戒する必要があります。

■滑落…40秒間転がり続ける

 一面真っ白の雪に日が射す春の雪山。先月24日、新潟県にある標高1725メートルの山で、尾根歩きをしながら爽快な景色を楽しんでいた、次の瞬間でした。突然雪が崩れ、そのまま転げ落ちます。

 響く男性の叫び声。転がる勢いは止まりません。帽子や靴が次々と脱げていきます。

 登山コースから外れた危険な雪山を滑り続けることおよそ40秒。仲間を呼ぶ男性の声が…。500メートルもの距離を滑り落ちましたが、幸いけがはありませんでした。

 男性は、オーストラリア出身のバートロさん。日本に住みながら、英会話教室や大学で英語を教えています。5年ほど前から登山にはまり、日本100名山も制覇しました。

バートロさん
「雪は川みたいで、全部の荷物を流していった」

 当時の状況を話してくれたバートロさん。360度カメラを持ちながら歩いていたため、転落の一部始終が収められていました。

■写真に写る…山に潜む危険

 滑っている時、頭によぎったものは何だったのでしょうか。

バートロさん
「その時、怖さは感じなかった。もうちょっと冷静に。一番大事にしたのは、どうやって身体を止めたらいいか。(スティックを)刺すとかやってみたけどダメでした」

 事故が起きた直後に撮られた写真です。バートロさんは、尾根から、ここまで滑り落ちたと言います。

 実はこの写真に、山に潜む危険が写り込んでいました。

バートロさん
「黒い部分分かる?それは岩場です。頭ぶつけると大変、その速度で。できるだけ(身体を)止めようと思った。1回頭ボコンして岩場で。大丈夫だったんですけど、そのあと止まった」

 この日、バートロさんは登山仲間と中学生の息子の3人で山に登っていました。落ちる直前、後ろを歩いていたのが息子のローランドさんでした。

バートロさん
「自分の身体を確認してから、やっぱり子どもを心配した。一緒に落ちたか分からなかった」

バートロさん(先月24日)
「ローランド(息子)!ローランド大丈夫?ローランド!」

 他の2人は巻き込まれずに済み、その後、合流することができました。

バートロさん(先月24日)
「Thank you.Thank you god」

 春の雪山登山の危険。豊富な経験のあるバートロさんは頂上の気温や、直近に登山した人のルートを調べるなど、万全の準備をして臨んだといいます。それでも、事故に巻き込まれてしまいました。

■専門家「“雪庇”の踏み抜き」

 専門家は、次のように話します。

日本山岳ガイド協会 武川俊二理事長
「“雪庇(せっぴ)”の踏み抜き。よくある事故ですね。(雪が)積もったところの下に地面がない場合があるんですよ」

 雪庇とは、屋根に積もった雪が風にあおられ、風下の方向に向かって落ちそうになっている状態のことです。これが、雪山にもできるというのです。

武川理事長
「どんな形で雪庇ができているかは日によって違ったり、季節によって違ったり、年によって違ったりしますので。それを十分に注意しないと、雪庇の上は歩きやすいふうに見えるんですよ。“わな”のように」

 落ちる前の映像を改めて見ると、先に歩いた人の足跡が残っています。一見、安全のように見えますが足跡に沿って、割れていくのが分かります。

武川理事長
「次に歩く人は、ある程度の時間が経っていると、雪が緩んだりする。前の人は通れたけど、次の人は落ちるケースはよくあるんです。春山(事故)の典型例ですね。(今年は)3月に入ってから、かなりの量の積雪があったので。暖かい時に降っている雪なので、いずれも緩く積もっている。いくら積もっても、崩れやすい傾向は出てくるかなと思います」

(「グッド!モーニング」2024年4月1日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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